技術を伝承する職人達

下地には、胡粉と煮皮をまぜたものを使います。胡粉は雪の様に白く、後にいれる赤色は下地に左右されると言っても過言ではありません。
信州の冬は特に厳しく、寒さは下地にヒビを入れるてしまうため、寸一杯でも配合を間違えると、その後の美しい赤色をのせることはできません。そのため、季節によって絶妙に調合をかえる職人の技が最高の下地を完成へと導きます。

追い求める色はつやつやとした陶器のような赤色。色の出来は天候によって左右され、曇った日にはくもった赤色となり、晴れた日にはおひさまと手を組んで、最高の赤色を手に入れます。
つや高い赤色を手にした時は、その美しさゆえ、私達職人も思わずみとれてしまいます。

文字を入れることが許されるのは、伝統を継承する布野恵だるま店の親族のみ。力強い独特の書体は、限られたものしか描くことが許されない。手にした人のさらなる福を願い、心をこめて筆をはしらせる。

まゆは鶴、ひげは亀。鼻下は松、顔下から体にかかれる金の竹、鼻の赤い線は梅。縁起をかつぎ松竹梅を表現。そして、一つの体に福を凝縮致します。

顔入れで命をふきこむのは、先代と3代目のみが筆を入れることができる工程です。乾きは遅いがつやのある黒色を求め、胡粉に炭を混ぜたものをつかい、大胆な線に繊細な線と強弱をつけながら命を吹き込んでいきます。
気持ちが沈むとだるまの顔も沈み、不思議と筆はこころを描いてしまう。だからひたすら無心で描き、常に最高のものを求めて今日も明日も筆を持つ。

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